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2022年3月10日(木)

きょうの潮流

 次々と読み上げられてゆく名前と年齢。数字からは浮かび上がってこない被害者一人ひとりの人生、生きた証しが立ち上がってくるように▼77年前の3月10日、一夜にして10万人もの命を奪った東京大空襲。それを記録し伝え継ぐ都内の戦災資料センターできのう、犠牲者の名前を心に刻む集いが開かれました。開館から20年をむかえた節目の日にあわせて▼太平洋戦争末期、東京をはじめ日本全国が米軍の無差別爆撃にさらされました。あまたの市民が火の海に身を焦がし、くらしを奪われました。しかし民間の空襲被害者への救済措置は、いまだまったくありません。元軍人や軍属、その遺族には補償が続く一方で▼国策による被害にもかかわらず、置き去りにされてきた戦後の長い年月。国民すべてが犠牲を耐え忍ぶ「受忍論」をもちだし補償を認めない国や司法。過去を清算できない姿勢は戦争への無反省と軌を一にしています▼戦争や空襲で理不尽な目に遭い大きな苦しみを強いられるのは、いつも女性や子どもをふくむ一般の人びと。そう訴えてきた同センターはロシアによるウクライナ軍事侵攻の即時中止を求める声明を出しました。平和を希求する人類社会の一員として▼名を読み上げた82歳の河合節子さんは、空襲で母とふたりの弟を失いました。戦火のなかを逃げ惑うウクライナの人びとの悲惨な姿は、まさに77年前の私たちだと。そして決意を込めて。「戦争は人間が起こす。それを止めることができるのも、私たち人間です」


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