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2022年3月7日(月)

きょうの潮流

 「東電の責任がしっかり確定した。心の中でストンと落ちるものがあります」。東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが東電と国に損害賠償を求めた福島、群馬、千葉の三つの集団訴訟。最高裁が東電の上告を退けた決定を受け原告が会見で語っていました。全国で約30件ある同様の集団訴訟で最高裁の判断が示されたのは初めてです▼いずれも2013年に提訴。20~21年に出た高裁判決は東電の賠償責任を認め、なかには事故を回避することが可能だったのに、それを怠る義務違反があったと指摘した判決もありました▼裁判では、国が賠償範囲などを定めた「中間指針」をどう扱うかも焦点でした。この問題は原告に限らず、福島県内の自治体からも、被害実態に即した見直しを求める要望が相次いでいるものです▼高裁は指針を上回る賠償を命じました。指針にはない「ふるさと喪失慰謝料」や、指針で賠償の対象にしていない地域の賠償や区域ごとに一律の賠償上積みを認めています。一方の東電は法廷で、指針を上回る損害はないと主張。指針による賠償額は多すぎる、と公言しています▼今回の決定は、東電のこうした主張を認めませんでした。一方、高裁で判断が分かれていた国の責任については、原告と国の双方の意見を聞く弁論を開き、統一判断を示す見通しです▼弁護団は、確定した賠償は不十分だとして「国の法的責任を認めさせ、過失責任を前提にした新たな賠償基準が策定されるべきだ」と。指針の見直しが急がれます。


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