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2022年3月4日(金)

ロシア非難決議 国連憲章守れ 声結集

事務総長「対話と外交の扉開け」

戦後の平和の国際秩序 根底から覆す

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(写真)国連総会の緊急特別会合でロシア非難決議採択後に会話をするウクライナ代表団(UN Photo by Felipe)

 「国連総会のメッセージは大きく、明確だ。今すぐウクライナでの敵対行為をやめよ。今すぐ銃声を止めよ。対話と外交の扉を今すぐ開けということだ」

 国連総会の緊急特別会合が2日、ウクライナを侵略するロシアの暴挙を厳しく非難する決議を採択した後、グテレス事務総長は高らかに宣言しました。

一斉に拍手

 ロシアの国連大使は採決前の発言で、「この決議案は、われわれの軍事行動の終了にはつながらない」と語り、あくまで侵略を正当化しました。各国代表が真剣な表情で見守る中、会議場のスクリーンに「賛成141」が表示されると一斉に拍手が湧き起こりました。

 決議案の共同提案国は96カ国。賛成は国連加盟国193カ国の73%に達しました。2014年のロシアによるウクライナ南部クリミアの編入を認めない決議(賛成100)よりはるかに多い支持を得ました。

 決議は、「諸国家間の法の支配を促進するうえで国連憲章が最も重要であることを再確認する」などと強調。ウクライナ(国際的に認められた国境線)からのロシア軍の即時・無条件の撤退を求めました。

 反対はロシアと同国に協力するベラルーシ、そしてシリア、北朝鮮、エリトリアのみ。討論で北大西洋条約機構(NATO)批判を展開し、ロシアを擁護したキューバや、ロシア支持を明確にしているベネズエラも、反対はしませんでした(投票不参加)。

 3日間にわたった会合の討論では、ほとんどの国がロシアの侵略行為を批判。2月末の安保理で同様の非難決議案を拒否権で葬り去ったロシアは、総会の場で圧倒的な反対の声を浴びることになりました。

 「国連創設者と国連を支持するもの全てにたいする侮辱だ」(シャヒド総会議長)、「ウクライナが生き残らないなら、国際的な平和も国連も生き残らない」(ウクライナのキスリツァ国連大使)―。議場では、「常任理事国で侵略者」「帝国主義と植民地主義の復活」だとプーチン政権への非難があふれました。

 同時に、各国代表が特に強調したのは、戦後の世界の平和秩序が根底から覆されようとしていることへの深刻な懸念と「国連憲章や国際法」の重要性でした。

 「国連が、その創設の基礎となっている価値と原則を守れるかどうか試されている」(クウェート国連大使)、「第2次世界大戦の終結にあたり、平和と安全を維持するために国連が創設された。国際法や紛争の平和解決などにもとづく秩序をロシアが乱暴に攻撃している」(ドイツ外相)などの発言が、欧州、アジア、アフリカ、南北アメリカの国々から相次ぎました。

 大国ロシアの小国への侵略を受けて、「力は正義だという国際秩序は小国を危険にさらす」(シンガポール国連大使)など人口の少ない小国、島しょ国の代表が国連憲章違反の侵略を糾弾しました。

核の廃絶を

 各国の怒りをさらに高めたのは、プーチン大統領による核兵器使用まで示唆する威嚇発言でした。各国代表はこうした暴論を厳しく批判。アルゼンチンの国連大使は「国際社会は核兵器の完全廃絶を目指して活動しなければならない」と発言しました。今回の国連総会は、「核兵器のない世界」を一刻も早く実現する必要性も改めて示すものとなりました。(ワシントン=遠藤誠二)


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