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2022年3月3日(木)

きょうの潮流

 「人の世に熱あれ、人間に光あれ」―。自由や平等、人間の解放を求める宣言のもと、全国水平社はかくして生まれました。100年前のきょう、各地から集った若き青年たちによって▼近世の身分制度下で「えた・非人」と長きにわたって虐げられた人たち。彼らの集落は「部落」とよばれて差別され、地域社会から排除される状況は四民平等をうたう明治以降も続きました▼しかし大正デモクラシーの高揚のなかで民衆の人権意識が高まり、社会運動も盛んに。全国水平社創立の年には日本農民組合や日本共産党も結成され、社会変革や生活に根ざした要求をかかげて立ち上がっていきます。弾圧の嵐に抗しながら▼戦後の新憲法に結実した水平運動は、無数の人びとの努力によって部落差別を許さない土台を築いてきました。同和行政のなかで利権や暴力に走った一部の逆流を克服し、発展させてきた1世紀に及ぶ運動。その今日的意義は大きい▼今もさまざまな偏見や差別が向けられる社会。個の尊重や人権をめぐるたたかいは続きます。国の権力者が戦争を起こし、市民が犠牲になり戦地の若者たちが命を落とす。一人ひとりの尊厳がないがしろにされる最たる例です▼「すべての人が平等の立場にたって、尊敬し、助けあうことによって平和で幸福な『よき日』の社会をつくる」。創立時からの活動家であった木村京太郎は『水平社運動の思い出』のなかで運動の目的を記しています。そしてこう結びました。「歴史は解放の過程である」


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