しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年2月12日(土)

主張

内閣府の経済分析

「負の循環」招いた大本ただせ

 内閣府が7日発表した「日本経済2021―2022」(ミニ経済白書)は、日本経済の成長が弱まった要因として、企業の利益ばかりが増えて、労働者の賃金が低下していることなどをあげました。非正規雇用の増加にともなって働く人の収入が二極分化し、若年層の貧困と格差拡大が進行したことなども指摘しています。

 経済の土台を脆弱(ぜいじゃく)にしてきた自民党の経済政策のあり方を抜本的に転換し、国民の所得を豊かにすることが必要です。

賃金抑制が成長弱めた

 「ミニ経済白書」は、経済の現状分析や見通しなどをまとめた報告書です。今年の白書は、売上高が伸びないにもかかわらず、企業が利益をあげてきたことを分析し「2009年度以降の収益性の改善には人件費や設備投資の抑制が寄与」と記しました。そのような「経営合理化」の結果、「成長と分配の好循環の実現を弱めた可能性」があるとしました。

 この間、過去最高益を出し続ける大企業が続出しています。その一方で賃金などを抑え込んできたことが、経済の持続的な発展を阻害してきたことを政府も認めざるを得ないのです。

 白書は、「投資家への配当金比率が上昇する一方で、人件費比率は低下傾向」と記述します。企業の収益力改善が働く人への分配には結びつかないという株主優遇の経済のゆがみもつくり出されました。

 白書は、国外に傾く投資活動の問題にも触れています。「国内での設備投資は抑制的だが海外M&A(企業合併・買収)は増加」とのべ、「対外直接投資収益の多くが現地での内部留保」に充てられていることも明らかにしています。「企業貯蓄は増加し、現預金も積み上がり傾向」にある半面、「企業の労働分配率は幅広い業種で長期的に低下傾向」と明記しました。それが「低成長につながり、さらに企業の慎重な分配・投資スタンスを促す負の循環に陥っている可能性」とも指摘しています。内部留保を活用して、大幅賃上げをすることが経済を成長させる大前提です。

 白書は、有価証券を保有する資産家層が預貯金の利子率が低迷するなかでも株などの配当金収入を増やしており、資産所得格差は他国と比べて大きいとしました。

 格差の拡大は、若年層で顕著です。所得格差を表す代表的な指標であるジニ係数を用いた分析では、02年から17年にかけての労働所得の格差が、25~29歳と30~34歳の層で広がっています。世帯と年代の分析では、所得500万円未満世帯で子どもを持つ選択が難しくなっているとしています。日本の未来に関わる事態です。

やさしく強い経済に

 岸田文雄首相は、「新しい資本主義」を唱え、「新自由主義の弊害」ともいいますが、「人件費抑制」を推進してきた自民党政治への根本的反省はありません。昨年の自民党総裁選で掲げた金融所得課税の強化にも後ろ向きです。貧困と格差を拡大させた「冷たい社会」、経済成長できない国になっている大本をただすことが不可欠です。

 「賃金が上がる国」にするために人間らしい雇用ルールをつくり、非正規雇用の正規化などが急務です。「やさしく強い経済」への大改革を政治の転換で実現するときです。


pageup