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2022年2月12日(土)

「死に神」無人機 米軍が鹿屋基地配備計画

中東で再三誤爆 多数の民間人殺傷

「米軍基地化せず」の協定にも違反

 海上自衛隊鹿屋基地(鹿児島県鹿屋市)への米空軍MQ9無人攻撃機の配備計画が浮上し、市民に不安が広がっています。同機の通称「リーパー」は「死に神」を意味します。米軍主導の「対テロ」戦争に投入され、多くの民間人の命を奪ってきた殺りく兵器です。


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(写真)米空軍の無人攻撃機MQ9リーパー(米国防総省DVIDSから)

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 防衛省九州防衛局は9日、鹿屋市への説明資料で、鹿児島沖や沖縄近海での中国軍の活動の活発化などをあげ、「我が国周辺地域における情報収集態勢の強化」が「喫緊課題」だと強調。「海洋における情報収集活動」を念頭に、鹿屋基地へのMQ9の「一時展開」を検討しているとしました。中国を念頭に置いた米軍の態勢強化であることは明らかです。

 今月下旬以降、米軍と防衛省・自衛隊による合同現地調査を行う方針。地元紙は7機、米兵100人程度の配備が検討されていると報じています。

 米空軍の資料は、MQ9の主要任務として、情報収集に加え、「精密打撃」をあげています。戦車などを破壊する空対地ミサイル・ヘルファイアなど、最大8基のレーザー誘導兵器が搭載可能としています。米軍は2007年以降、同機をイラクとアフガニスタンに投入。多くの誤爆で一般市民を殺傷しています。昨年8月29日、米軍のアフガン撤退による混乱の中、カブール市内で民家を誤爆し、子ども7人を含む10人の民間人を殺害したのも、MQ9でした。

 九州防衛局は鹿屋への「一時配備」にあたり、「武器は搭載しない」と説明していますが、その担保は何ら示されていません。米軍はどのような武器を搭載するかを含め、日米安保条約の下で運用の自由が全面的に保証されており、日本側に米軍の装備を点検する権限はありません。

 かつて、旧日本軍の特攻隊の出撃基地だった鹿屋基地。現在は海自哨戒機の拠点です。在日米軍再編計画に伴い、KC130空中給油機のローテーション展開が決定されましたが、市と防衛局が16年にかわした協定書は、「訓練の拡大や米軍基地化は考えていない」と明記しています。

 しかし、18年には米海兵隊MV22オスプレイの展示飛行を実施。さらにMQ9の配備が強行されれば、文字通りの「米軍基地」となります。米中対立の中、鹿児島県が米軍の出撃拠点になり、同時に標的となる道を歩んではなりません。


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