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2022年2月8日(火)

トランプ氏 影響力維持

米共和党は議会襲撃「合法」

2議員の非難決議を採択

 【ワシントン=遠藤誠二】今年秋の米中間選挙で連邦議会上下両院での多数派奪還をめざす共和党が、トランプ前大統領の影響力が維持するもと「混迷」しています。4日開かれた同党全国委員会の冬季会議は、トランプ支持者が起こした昨年1月の連邦議会襲撃事件を調査する下院特別委員会メンバーのチェイニー、キンジンガー両議員(共和)を非難する決議を採択しました。


 決議は、2020年の大統領選結果を覆そうとした実行犯らが多数、逮捕・起訴されている連邦議会襲撃事件をめぐる超党派の活動を否定するものです。

 非難決議は、両議員が「今年の選挙で共和党が過半数を奪還することよりも、トランプ大統領をおとしめようとする民主党の取り組みを支援している」と指摘。「合法な政治対話をしていた普通の人々に対する民主党主導の迫害に加担している」として、議会襲撃を「合法な政治対話」とねじまげています。

 これは、議会襲撃事件直後に同委員会が発表した「こうした暴力シーンは、愛国的な行為ではなく、わが国とわれわれが築き上げた原則に対する攻撃だ」とする声明とも矛盾します。

離反の動きも

 米紙ワシントン・ポストは5日付社説で、共和党の行為を「オーウェル風への転向」との見出しで、「共和党は真実と民主主義に反する立場を公にした」と主張。ジョージ・オーウェルが小説「1984」で描いた未来の全体主義社会になぞらえて批判しました。

 トランプ氏は、1月29日の南部テキサス州での集会で、24年の選挙で大統領に返り咲けば、議会襲撃事件で逮捕・起訴された人たちを「恩赦する」とまで発言しました。

 影響力を継続しているトランプ氏ですが、党内には批判する意見や離反の動きもあります。

 全国委員会の非難決議には、ロムニー上院議員が「真実を追求する良心ある人々を批判する、党にとって恥ずべきことだ」と批判。東部メリーランド州のホーガン知事は「自身の信念を表し、道理に立ってあからさまなうそを拒絶したことで罰せられる。党にとって悲しい日だ」とツイートしました。

国民が決める

 トランプ氏を支えたペンス前副大統領は4日、南部フロリダ州で開かれた保守派団体のイベントで、「(副大統領が)大統領選結果を覆す権利がある」とのトランプ氏の主張について、「間違っている」と断言。選挙結果を決めるのは米国民であり、だれか一人が大統領選の結果を覆せるというのは「非アメリカ的」な考えだと主張しました。

 ワシントン・ポスト紙社説は、今回の共和党の非難決議を「有権者は(選挙が実施される)11月に覚えておく必要がある」と指摘しています。


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