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2022年1月31日(月)

主張

クーデター1年

ミャンマー国民に連帯強化を

 ミャンマー国軍がクーデターを起こしてから2月1日で1年になります。残虐を極める弾圧にもかかわらず、国民の抵抗はやむことがありません。国際社会でも国軍は孤立を深めています。軍事独裁を打ち破り、民政の原状復帰をかちとるまでミャンマー国民への連帯を強めていくことがますます重要になっています。

弾圧下でも抵抗はやまぬ

 クーデターが起きたのは、2020年11月の議会選挙で圧勝した国民民主連盟(NLD)の新政権が再発足するはずの日でした。国軍はNLD指導者らを逮捕し、軍事政権の樹立を宣言しました。かつて同国を独裁支配した国軍は、民政移管後も国会議員の軍人枠など特権を維持しています。その見直しをめざすNLDを武力で葬ろうとしたことは明らかです。

 正当な選挙を経た政権の発足を暴力で阻むことは民主主義を破壊する暴挙です。国軍はこの1年、弾圧を強め、軍事政権を既成事実化させようと躍起になってきましたが、国民と国際社会から拒絶されています。

 平和的デモに対する銃撃や拷問などで殺された市民は人権団体の1月末までの集計で約1500人にのぼり、逮捕者は累計で1万人を超えました。

 にもかかわらず昨年12月10日には「沈黙のストライキ」が全国で行われ、主要都市や首都の街頭から市民の姿が消えたと伝えられます。弾圧のすきを突くデモ、夜間に金物をたたく抗議の意思表示も続いています。NLDなど民主派と少数民族政党は国民統一政府(NUG)を結成し、軍事独裁打倒をめざしてたたかっています。

 過去、軍政が長く続いたミャンマーでは1988年と2007年にも大規模な民主化運動が起きました。この時は弾圧によって短期間で抑え込まれましたが、今回のたたかいは1年たっても続いています。武力による抑圧が不可能であることを国軍は知るべきです。

 国軍はNLDの最高指導者アウンサンスーチー国家顧問やウィンミン大統領に罪をかぶせ、自ら設けた特別法廷で禁錮刑の不当判決を言い渡しました。裁判は非公開で、審理内容も明らかにされず、裁判と呼べないものです。国軍はNLDを解党した上で23年に総選挙を実施すると宣言していますが、到底認められません。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は暴力の即時停止、全当事者の建設的対話、特使による仲介など5項目合意に基づく解決をミャンマー国軍に求め、昨年10月、履行に後ろ向きな軍政首脳の会議出席を認めませんでした。国軍はただちに弾圧をやめ、平和的解決に踏み出さなければなりません。

日本は国軍への資金断て

 今の状況を打開するためには国軍を外交的に包囲することが必要です。欧米諸国は国軍の資金源となっている国営企業との取引停止や資産凍結など経済制裁を加えています。

 日本政府はクーデター後、新規の政府開発援助(ODA)を停止しましたが、実施中のODAは、状況によって見直すとして様子見の姿勢です。日本の公的資金を提供し続けることは国軍の人権弾圧に手を貸す行為です。ミャンマー国民の決死のたたかいを支援することこそ最大の援助を与えてきた国としての責務です。


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