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2022年1月27日(木)

きょうの潮流

 「一部の構成員を締め出す社会は弱くもろい」―。国連が国際障害者年(1981年)に掲げました。以降、「ノーマライゼーション」の理念が日本でも広がります。障害者を排除せず障害のない人と同等に当たり前に生活できる社会をめざして▼一方、この年には「土光臨調」が発足、規制緩和や構造改革を推進しました。生産性や効率性を追い求める新自由主義的政策は小泉、安倍政権などに引き継がれ今に▼精神障害がないのにもかかわらず、神戸の精神科病棟に入院していたろう者がいました。昨年死去した竹邉正晴さん(享年86歳)。50年以上社会から排除されてきました▼戦争の影響でまともな教育を受けられませんでした。コミュニケーションが取れず、たびたびトラブルを起こす竹邉さん。家族だけでは限界があり社会的入院に。他の患者とのトラブルのたびに幾度となく身体拘束を受けました▼2006年、聴覚障害のある人に配慮した特別養護老人ホーム淡路ふくろうの郷(兵庫県洲本市)に入居。手話で人とのつながりと豊かな暮らしを少しずつ築きます▼ブックレット『経済成長期のじゃま者たち 理由なき精神科病棟への隔離』は、竹邉さんを通して障害者を排除する優生政策を問います。優生政策と新自由主義はコインの表と裏。市民は弱肉強食を強いられ、自己責任を押し付けられました。そのもとで日本は「弱くもろい」社会に。竹邉さんのように排除される人をうまない社会への転換は、国際社会の要請でもあります。


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