しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年1月23日(日)

きょうの潮流

 「映画を通じて、娘自身が『私はここにいるよ』とみんなに伝えたんだな、と思うんです」▼各地で上映が始まったドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」。生後すぐに「脳死に近い状態」と医師に言われた西村帆花さんの成長と、家族の姿を追っています。脳波がないと言われながらも、反応がある娘との間での葛藤。理佐さんと秀勝さん夫婦はその成長を信じて、ヘルパーとともにケアする日々を送ります▼映画に登場するのは、3歳から小学校入学前までの帆花さん。家族の日常を描く72分はあっという間です。「機械につながれた生まれたてのわが子を見た時、どう受け止めていいかわからなかった」と理佐さん。ネガティブな感情が生まれたとしたら「なぜ?」と考え続けてくれればと願います▼「でもね、未熟だった自分を突きつけられるようで、映画を見るのはちょっとつらい」とも。手探り状態のケア、閉ざされた2人きりの空間で行き詰まっていたからです。帆花さんが学校に通うようになってからはお互いの世界が広がり、息苦しさに見舞われることはほとんどなくなりました▼「責任が取れないから」。そんな理由で支援を断られるたびに「責任はケアを頼む私たち夫婦にあるのに」とやりきれない気持ちに。「同じ方向を向いて、私たちと一緒に生きてくれる支援者がどれだけ得られるか。それが帆花の命を左右するんです」▼そっと握った帆花さんの手の温かさ。「私はここで生きてるよ」。そんなささやきが聞こえてきました。


pageup