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2022年1月17日(月)

きょうの潮流

 雪の後の牛久(うしく)沼は満々と水をたたえ、さざ波がきらめいていました。部落差別がテーマの小説『橋のない川』で知られる作家・住井すゑ(1902~97年)が「大地のえくぼ」と呼び、亡くなるまでの60年余をそのほとりで暮らした牛久沼▼作家の誕生日の1月7日、茨城県牛久市の住井すゑ文学館で生誕120年イベントが行われました。同館は、遺族から書斎や住宅などを寄贈された市が、昨年11月に開館したもの。愛用の机や万年筆、辞書、自筆原稿に日記、手帳、蔵書約3400冊を展示しています▼作家と長年にわたって親交があったという日本共産党の利根川英雄・牛久市議は、旧宅だった文学館に来ると涙が出ると言います▼「40年以上前、『赤旗』日刊紙を配達に来たのが最初です。『赤旗』を読まなきゃ真実はわからないよ、とよく言われました。入り口には共産党の掲示板があって、選挙の時は応援演説をしてくれて。お宅の庭の桜の下で後援会の花見をしてね。来る者は拒まずという人でした」▼イベントでは、記録映画「住井すゑ 百歳の人間宣言」が上映され、人権、平等、平和について縦横に語る姿がありました。「生まれながらに尊い身分があるから、生まれながらに卑しい身分がある」「神武天皇・皇紀二千何百年、全部うそ」▼学生時代、夢中で読んだ『橋のない川』。苛烈な差別と貧困が描かれながら、明るさに励まされたのは、希望をもってたたかう人々の向日性によるのでしょう。今年、読み返したい作品です。


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