しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年1月13日(木)

核禁条約実践 特別の責任

米サンタフェの大司教 原爆生誕の地から表明

 【ワシントン=島田峰隆】米西部ニューメキシコ州を管轄するカトリックのジョン・ウェスター・サンタフェ大司教が11日、核兵器を開発するロスアラモス国立研究所を抱える大司教区として「核兵器禁止条約を支持するだけでなく、米国も含めて条約の積極的な実践を促す特別の責任を負っている」と表明しました。同教区の信者に宛てた書簡の「司教教書」で明らかにしました。

 ウェスター大司教は、広島と長崎を訪問した際に被爆の実相を知り衝撃を受けた経験を紹介。「広島と長崎の原爆を製造し、その後も無数の核兵器をつくってきたサンタフェの歴史に心がかき乱された」としています。

 教書は、サンタフェは「核兵器生誕の地」であり、米国は核兵器を初めて使った国だと指摘。今度は「核兵器を廃絶し、二度と使われないようにする人々にならねばならない」と決意を表明しました。バチカン(ローマ教皇庁)は「核抑止力」論を肯定する立場を転換し、核兵器禁止条約の成立を推進し、率先して署名・批准したと紹介しています。

 州内にあるエネルギー省の施設は膨大な予算を受け取る一方で、州民1人あたりの収入は過去60年に全米50州中で37位から49位に下がったと指摘。核兵器の製造・維持は「一握りの個人と企業だけを途方もなく裕福にする」と批判し、核開発予算を貧困・飢餓対策、気候変動対策に回すよう求めました。

 オンラインで記者会見したウェスター大司教は、米国とロシア、中国との緊張激化や核軍拡競争について、冷戦時より深刻だと懸念を表明。「核軍縮の議論を始める緊急性が明らかにある」と述べました。

 ロスアラモス国立研究所はエネルギー省傘下の研究機関。原爆開発のマンハッタン計画の一環として1943年に創設されました。現在も核兵器開発の重要拠点となっています。


pageup