2021年12月30日(木)
きょうの潮流
今年のノーベル平和賞は言論抑圧とたたかうジャーナリスト、ロシアのドミトリー・ムラトフ氏とフィリピンのマリア・レッサ氏に贈られました。受賞スピーチで両氏は、迫害される世界各地の記者たちに言及しました▼拘束された記者が過去最多だった今年。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)によると、1995年の集計開始から最悪の488人に。国別では中国127人が最多です▼新疆や香港で独立メディアを弾圧し、報道統制を強める中国。RSFは「大後退」と題する報告書をまとめました。毛沢東時代の経済失政「大躍進」に相当する大きな逆流だと▼2000年代初めの胡錦濤(こ・きんとう)時代には、「報道の自由」が一定容認され、経済汚職などを暴く地方紙「南方週末」の存在も光りました。しかし、今では記者の個人ブログは禁止。記者証更新にあたり習近平思想を学ぶスマホアプリが導入されました。自由な取材は「犯罪」になる場合も▼新型コロナウイルスの感染状況を発信しようと武漢入りした市民記者が、次々と拘束されました。その1人、張展氏は禁錮4年に。ハンストで抗議を続ける彼女の釈放を国連も求めています▼北京の人権派弁護士・唐吉田氏は、今月10日の国際人権デーから行方不明に。留学先の日本で意識不明に陥った一人娘を見舞うため、出国許可を求め、本紙を含む外国メディアに娘に会いたい一心を語っていました。言論統制に出国禁止…中国政府は何を恐れているのでしょうか。








