2021年12月28日(火)
きょうの潮流
年末の恒例行事となった流行語の発表。2021年も「ジェンダー平等」や「親ガチャ」「Z世代」がトップ10に入るなど、いまの社会のありようを映し出す言葉が選ばれました▼先日、中国の十大流行語の発表を本紙特派員が伝えていました。今年若者の間で拡散したのが「寝そべり」を表す「タンピン」。格差や競争、長時間労働や不公正な社会のシステム。それに対し、何もしないで寝そべることが静かな抵抗だとして支持がひろがったと▼中国共産党創立100年に関連する言葉が多くランクインするなかで「タンピン」が選ばれたことは意義深い。そう報じた中国メディアもあったそうです。中国政府が求める青年像と、現実社会との大きな隔たりを感じさせます▼日本でもコロナ禍で苦しむ若者の姿があります。働く場や学ぶ場が奪われ、くらしに困り、孤立する日々。自己責任ばかり押しつけられる社会で、みずからの存在価値を否定する若者も増えているといいます▼いくら岸田首相が「日本の未来を切りひらく存在」ともちあげても、自分は役に立たないダメな人間と思い込まされていく現実。その生きづらさのなかで大事なのは、あるがままの自分で大丈夫だという自己肯定感をもつことではないか。心理臨床家の高垣忠一郎さんが強調しています▼生きる価値がないと自己を否定させる世の中への若者たちの抵抗。それは食料支援の活動を通じてみえてくる、個人の存在そのものを尊重し愛する社会へとつながっていくはずです。








