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2021年12月24日(金)

主張

ソ連崩壊30年

覇権・専制主義克服の課題今も

 ソ連共産党が1991年8月に解散した時、日本共産党は「歴史的巨悪の党の終焉(しゅうえん)を歓迎する」と声明しました。同年12月25日のソ連解体の際には、「最大の根源は、スターリンいらいの覇権主義および、その害悪にたいするゴルバチョフ指導部の無自覚と無反省」と指摘しました。ソ連は社会主義と無縁な体制として消滅しました。覇権主義や専制主義とのたたかいは今も世界の重要課題です。

大規模な干渉はねのけた

 ソ連は、初期には社会主義をめざす積極的な取り組みもありましたが、スターリンが指導者について以降、バルト3国併合(40年)、日本の千島列島、歯舞(はぼまい)・色丹(しこたん)の不法占有(45年)、チェコスロバキア侵略(68年)、アフガニスタン侵略(79年)など、他国への軍事干渉を繰り返しました。国内では覇権主義と不可分に、国民の自由と人権、民主主義を踏みにじり、専制体制がつくられました。

 これらの誤りは、「社会主義」の看板の下でおこなわれただけに、世界の平和と社会進歩の運動へ重大な悪影響をもたらしました。

 日本共産党も50年代、スターリンの干渉による党分裂に直面しました。統一を回復する過程で、どんな大国でも干渉や覇権は許さない自主独立の立場を確立しました。ソ連は、言いなりにならない日本共産党にたいし60年代から国家権力を動員して大規模な干渉を行いました。日本共産党は党の存亡をかけてはね返すとともに、チェコ侵略などソ連の一連の覇権主義の蛮行を厳しく批判してきました。

 そこでは、社会主義と無縁の覇権主義や専制を正当化するソ連流の「マルクス・レーニン主義」の歪曲(わいきょく)を正し、民主主義と人権を尊重し、個人の自由な発展を社会発展の目的とする社会主義の本来の姿と魅力を鮮明にすることも必要でした。この探究は、日本共産党の現在の綱領に生きています。

 ▽思想・信条の自由、反対政党を含む政治活動の自由は厳格に保障される▽「国有化」や「集団化」の看板で、生産者を抑圧する官僚専制の体制をつくりあげた旧ソ連の誤りは、絶対に再現させてはならない▽社会主義・共産主義の日本では、民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果の全てが受け継がれ、いっそう発展させられる―こうした綱領を持つ日本共産党には「権威主義的なマルクス・レーニン主義を否定し、議会制民主主義と人権普遍主義を支持する東アジアの共産党」(オドワイヤー九州大学准教授、台湾オンライン誌『ニュー・ブルーム』10月22日付)と、国際的な注目も寄せられています。

大国支配の世界を許さず

 いま米国と中国、ロシアは、核兵器禁止条約への敵対では共同しつつ、覇権争いを激化させ、世界と地域に新たな緊張をつくりだしています。しかし、覇権主義・大国主義に未来はありません。

 核兵器禁止条約やソ連の一部だった中央アジアでの非核地帯の成立に示されるように、現代は一部の大国が支配する世界ではなく、国の大小を問わず全ての国が対等な立場で国際政治の主役となる時代が開かれつつあります。ソ連崩壊が平和と社会進歩をめざす世界と日本の運動に「巨大なプラス」となった結果でもあります。希望ある流れをさらに進めるため、日本共産党は力を尽くします。


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