2021年12月19日(日)
きょうの潮流
心の不調を訴える人や、社会や職場への復帰をめざす人たちが通っていました。「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」。よりどころとなる大切な場所が悲惨な現場と化してしまいました▼大阪・北新地の雑居ビルに入るクリニックから出火した火災。24人の命が奪われ、警察は殺人と放火の疑いで捜査しています。目撃者の情報によると、待合室に入ってきた男が暖房器具の近くに紙袋を置いて蹴り倒し、漏れ出た液体が引火したと▼当日は職場復帰をめざす患者を支援する「リワークプログラム」の開催日で、多くが訪れていたといいます。さまざまな事情や問題を抱えながら、なんとか社会とつながろうとする人たちにとって、なくてはならない存在。そこで…▼経緯や動機はまだ不明で、火をつけたとみられる男も病院に運ばれ危険な状態だという報道も。それにしても、どれほどの恨みや憎しみがあったのか。他人の命まで巻き込むほどの絶望や自暴自棄だったのか▼この間、電車内で相次いだ蛮行といい、こうした非情な事件がつづいています。たとえ、どんな理由があっても許される行為ではありませんが、そこに至るまでの過程をたどることは犯罪の芽をつむためにも必要でしょう▼放火殺人といえば、一昨年の京都アニメーションの事件を思い出した人も。その遺族のひとりが、逮捕された人物に向けて声をふり絞って訴えていました。「人の命を奪うことがどれだけ重大なことか。それを理解し罪の意識を持ってほしい」








