2021年12月17日(金)
きょうの潮流
まだ事件は終わっていない、私は真実を知りたい。まじめに働いてきた夫がなぜ命を絶たなければならなかったのか。妻が訴えた裁判は、突然幕が引かれました▼森友学園問題で財務省による決裁文書の改ざんを強いられ、自殺に追い込まれた近畿財務局職員の赤木俊夫さん。その原因や経緯を明らかにするはずだった訴訟で、国はこれまでの態度を一転、賠償責任を認めました▼「(国の対応は)ひきょう」。国側が存在すら認めてこなかった俊夫さんのファイルが今年6月に開示され、解明はこれからというときにふたをする行為。雅子さんは「お金を払えば済む問題ではない。夫はまた国に殺された」▼国有地が8億円以上も値引きされ、学園に売られたのは5年半前。安倍元首相夫妻や財務省のかかわりが国会でも大きな問題になりましたが、政権ぐるみの隠ぺいによって真相は闇にほうむられようと。こうしたことをくり返さないため、事実を公的な場所で説明したかったという夫の遺志を継ぐための訴訟でした▼国への信頼が根底から崩れる公文書の改ざん。それを深刻に受けとめない政府の態度は同様の問題を各省庁にひろげています。厚労省の統計不正につづき、こんどは国交省の統計書き換えが発覚しました▼ともに公的統計でもとくに重要な基幹統計に位置づけられているもの。それがなぜ見逃されてきたのか。不正の裏に何があるのか。覆い隠される不都合な真実。それを照らすたたかいは国の進路を正す道にもつながります。








