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2021年12月8日(水)

きょうの潮流

 みんなで朝ごはんを食べているときでした。ラジオから流れてきた開戦のニュース。弟は「うでがなる、うでがなる」。学校では校長先生が「勝つと思って居れば必ず勝ちます」と勇ましく▼当時山形市の国民学校に通っていた少女の手記です。最初は少し恐ろしい気持ちだったのが日本軍の進撃に「万歳」をしないではいられなくなった、「女でも兵隊さんになって行かれる時は私も行こう」と決意していきます▼1941年12月8日。アジア・太平洋戦争の始まりを、国民はどう迎えたか。新日本出版社のシリーズ『子どもたちが綴(つづ)った戦争体験』には、周りのおとなたちに引きずられるように高揚していく様子が描かれています。〈米英を撃たすば止まじこの一戦〉▼個人の視点から歴史の大きなうねりを追体験していくNHKの「新・ドキュメント太平洋戦争」。穏やかな人びとの営みが、なぜアメリカとの戦争に向かっていったのか。その頃の日記や手記からみえてくるのは生活の不満を背景にした誘導宣伝や「お国のために」という愛国心でした▼あれから80年。日本人の平均寿命からいえばひとりの人生の時間に相当します。戦争の表と裏をつぶさに見てきた世代が折々に伝えてきた多様な体験。それは、われわれの戦争観をかたちづくってきました▼生の戦争を知る人たちの思いをどう受け継ぐか。おびただしい命を奪い、あまたの人生を狂わせた破滅への道。それを歴史の教訓とする国をつくってこそ、新しい未来が開けてきます。


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