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2021年11月28日(日)

主張

20年政治資金報告

劣化・腐敗を招く大本をただせ

 自民・公明政権下で「政治とカネ」疑惑が相次ぐ中、政党や政治団体の2020年分の政治資金収支報告書(総務相届け出分)が公表されました。政治資金は、政党の姿を映す鏡とされます。日本共産党は、党費や「しんぶん赤旗」購読料、個人からの寄付などで資金を賄い、国民と結びついた財政活動をしています。これに対し自民党は、企業・団体献金と政党助成金に依存しています。大企業からの献金と税金頼みは政治を劣化させ、金権腐敗の温床となっています。国民に背を向けた政治の根本を正すことが不可欠です。

国民の不断の監視と批判

 政治資金収支報告書は、政党や政治家の活動が「国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」(政治資金規正法第1条)に毎年提出されています。

 安倍晋三元首相の「桜を見る会」前夜祭疑惑では、費用の一部を安倍氏側が補填(ほてん)しながら報告書に記載していませんでした。規正法違反は明白で、検察の捜査も続いています。説明責任を果たさない安倍氏の姿勢が問われています。

 19年参院選の河井克行元法相・案里元参院議員の大規模買収事件では、自民党本部からの政党助成金を含む1億5000万円の資金が買収原資になった疑いがあります。岸田文雄首相は調査を拒んでいますが、規正法の趣旨に反する重大問題を曖昧にできません。

 20年の報告書では、自民党本部は約241億円の収入の71・7%が政党助成金でした。日本維新の会は収入の80・2%が同助成金です。国民の税金を分け取りする政党助成金の仕組みは、自分の支持しない政党に強制的に寄付をさせられているのと同じです。思想・信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度は廃止すべきです。年間約320億円にのぼる政党助成金をなくせば、暮らしに役立つ予算に回せます。

 自民党は政党助成金だけでなく、企業・団体献金も手にしています。ほとんど政治資金団体「国民政治協会」を経由(23億円)しています。大企業やその業界団体が大口の献金者です。日本自動車工業会が8040万円、日本電機工業会が7700万円、トヨタ自動車が6440万円、住友化学(十倉雅和経団連会長が会長)が3100万円などとなっています。

 営利が目的の企業が献金をするのは「見返り」を求めるからです。経団連は毎年「政策評価」を発表して、自民党への献金を呼びかけています。先月発表された21年の政策評価は、自民党が大企業優先の「成長戦略」や原発再稼働などに取り組んでいることを挙げて「高く評価できる」としました。カネの力で政治に影響を与え、自分の企業の利益をはかることは、事実上の「政策買収」です。企業・団体献金の全面禁止が必要です。

「政治とカネ」の究明を

 第2次安倍政権以来の9年間、「政治とカネ」疑惑が続発し閣僚の辞任が相次いだことは重大です。先の総選挙では公明党の斉藤鉄夫国土交通相(広島3区)の演説会をめぐって広島県トラック協会の関連団体が参加者に旅費名目で現金を配布したことなどが問題になっています。岸田首相と公明党には事実関係を調査し、国民に報告する責任があります。疑惑にフタをする政治を終わらせなければ国民の信頼は得られません。


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