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2021年11月28日(日)

「野党共闘失敗」論 まったくデマ

結果に見るこれだけの効果

 日本共産党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組の野党4党が市民連合との共通政策や政権協力、選挙協力の合意をつくってたたかった総選挙からまもなく1カ月。一部メディアはその結果をなおも「野党共闘は失敗」と描き出しています。これは事実にまったく反するデマ攻撃です。4野党が候補者を一本化してのぞんだ207の小選挙区の結果をみると―。(高柳幸雄)

59小選挙区で勝利 比例復活当選も

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 207小選挙区は全選挙区(289)の約7割になります。ここで4野党が一本化した候補は59選挙区で勝利(立民54人、共産1人、社民1人、無所属3人)し、自民党の重鎮や有力政治家を落選させました。

 小選挙区当選とならなかった148選挙区では、当選した自民党、公明党、日本維新の会、与党系無所属の候補との得票率差を10ポイント未満の僅差まで追い込んだ選挙区が55あります。うち40選挙区で4野党の一本化候補は比例復活当選(立民39人、共産1人。得票率差10ポイント以上では共産1人当選)。比例復活とならなかった15選挙区でも14選挙区で自民党候補などに2万票差内まで追い上げました。

 「野党共闘は失敗」と喧伝(けんでん)するメディアもこの事実は否定できず、「12年衆院選以降、10ポイント以上の得票率差で圧勝した自民候補は減り続け、今回の衆院選では128人と、12年の約7割にまで落ち込んでいる」(「読売」4日付)と指摘。自民党情報調査局長を歴任した平将明衆院議員(東京4区)は「現場でたたかっている人からみると、立憲民主党と共産党のいわゆる統一候補というのは、大変な脅威だった。今までと緊張感が違う。最後競り勝ったが、どっちに転んでも不思議はなかった」(4日放送のBS―TBS番組「報道1930」)と述べています。

 来夏の参院選の全45選挙区のうち、衆院小選挙区のような1人区は32選挙区。自民党はこの1人区での野党の候補一本化を警戒し、幹部が最重点区を回る全国行脚をスタートさせました。

4野党の比例票を144選挙区で上回る

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 一本化候補の小選挙区・比例復活当選や自民党候補などとの接戦ぶりを生み出した背景には、市民と野党の共闘効果があります。

 本紙は、207小選挙区での共産、立民、社民、れいわの4野党の比例合計得票に対し一本化候補がどれくらい得票したのかの割合をみてみました。

 その結果、約7割の144選挙区で候補者得票が4党の比例合計得票以上(100%以上)でした。一本化候補が小選挙区で勝利した59選挙区のうち56選挙区、得票率差10ポイント未満で比例復活当選した40選挙区のうち39選挙区で比例合計票を上回りました。無党派層・他党支持層からの支持が広がるなど、共闘効果が示されたものです。

 徳島1区では、無所属の仁木博文氏が4党比例票合計5万1129票の2倍近い9万9474票を獲得し、自民党の後藤田正純氏(比例復活当選)を破りました。メディアの出口調査では無党派層の61%が仁木氏に投票しています。

 与野党一騎打ちとなった東北の7激戦区(岩手3区、宮城1・2区、秋田1・2区、福島1・4区)を小選挙区と比例票の得票で比較した河北新報10日付は「立民は全候補が野党4党の比例代表の票を上回り、共闘が奏功。無党派層の取り込みが当落を左右した」と指摘しました。

 日本共産党の志位和夫委員長は27日の第4回中央委員会総会の幹部会報告のなかで、支配勢力の激しい攻撃にもかかわらず、市民と野党の共闘が重要な成果をかちとったと強調。勝利した小選挙区で共闘勢力の比例票合計を小選挙区候補の得票が上回る「共闘効果」が発揮されたとして、「これらの事実は、野党がバラバラにたたかっていたら自民の圧勝を許したことを示しています。共闘がさらに力あるものとなっていたら、まったく異なった結果が生まれていたことも明らかです」と強調しました。

151選挙区の投票率 前回を上回る

 「共闘勢力」が一つにまとまり、与党とその補完勢力と対決する構図が生まれたことで投票率にも変化がみられています。

 小選挙区の全国平均投票率は今回55・93%(前回17年比2・25ポイント増)。野党が一本化した207小選挙区のうち151選挙区で前回投票率を上回り、うち84選挙区では全国平均も上回りました。

 六つの小選挙区のうち4選挙区で野党候補が勝利した新潟県では5選挙区で投票率が60%台となっています。東京都では、野党一本化候補が小選挙区か比例復活で当選した12選挙区いずれも全国平均を上回っています。


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