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2021年11月26日(金)

きょうの潮流

 中国女子テニスの彭帥(ほう・すい)選手。ダブルスで世界1位に輝いた有名選手が一時、消息不明に。世界のテニス界が動きました▼自らのSNSに性暴力被害を告白した短文を載せた彭さん。相手は中国共産党の元最高幹部でした。「中国最高レベルの#MeToo」と欧米メディアが注目したのは、検閲によって同文がネットから即座に消え、安否が分からなくなったあと▼世界の女子プロテニス大会を統括する女子テニス協会(WTA)は「安否確認を」と声明。大坂なおみ選手ら同僚が次々とSNSで懸念の声を上げました▼女子テニスのレジェンド、ビリー・ジーン・キング氏も「彼女の告発は十分に調査されなければならない」と発信しました。キングはWTAの創設に尽力したテニス界のジェンダー平等の先駆者でもあります▼国連など国際社会が懸念を示すなか、北京冬季五輪の是非まで問われる事態に。中国と国際オリンピック委員会(IOC)は、彭さんとバッハ会長のビデオ面談を急きょ仕立てましたが、国際人権団体はIOCの加担を「危険水域に突入した」と強く批判します▼「#MeToo」運動が世界に広がった契機は、米ハリウッドの大物プロデューサーを追い詰めたニューヨーク・タイムズの調査報道でした。その顛末(てんまつ)は『その名を暴け』(新潮社)で紹介されています。同書の原題は「She said」(彼女は語った)。調査を担った記者は、女性の語りに光を当てました。彭さんが語る言葉を世界が今、待っています。


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