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2021年11月25日(木)

きょうの潮流

 「石油の一滴は、血の一滴に値する」。第1次世界大戦中、ドイツの猛攻にあったフランスの首相が米大統領に石油をもとめ、電文に記したと伝えられています▼これまで戦争のきっかけとなり、戦況を左右するほど重要な資源となってきた石油。めぐる争いは戦後も絶えず、不安定な供給は世界経済や各国のエネルギー政策、人びとの生活を大きく揺るがしてきました▼いままた原油の高騰が深刻です。コロナ下の景気後退から世界的に経済が再開され、一気に需要が拡大。日本でもガソリンや灯油の価格がうなぎ登りで、くらしを直撃しています▼「食べ物がねぇことよりも、灯油がねぇことのほうが、ひもじい」。青森に住む父子家庭の窮状を本紙が報じていました。父親はけがや持病に苦しみ、息子は脳性まひで半身が不自由。年金と生活保護で生活していますが、高い灯油代が重くのしかかります。食事は減らしても耐えられるが、寒さは我慢できないと▼そのうえ、自公政権によって生活保護費は削られつづけ、「北国の命綱」といわれる冬季加算まで大幅に引き下げられて。原油の高騰に加え国の冷たい仕打ちが困窮者を追いつめ、苦境をひろげています▼岸田政権は米国と歩調をあわせ、蓄えた石油の一部放出を決めました。国家備蓄からは初めて。いま手段をつくすことは当然ですが、石油やガスなどのエネルギー源をいつまで輸入に頼るのか。制御できない原発依存もしかり。ここでも再生可能エネルギーへの転換が急がれます。


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