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2021年11月14日(日)

国安法下 初の香港立法会選

民主派閉め出し

圧力の中、立候補締め切り

 【北京=小林拓也】12月19日投票の香港立法会(議会、定数90)選挙の立候補届け出が12日、締め切られました。香港国家安全維持法(国安法)を導入した中国政府が進める「愛国者による香港統治」の方針のもと、選挙制度が改変されてから初の立法会選となります。香港メディアによると、154人が立候補を届け出ましたが、民主派が事実上閉め出された形です。

 いままで立法会議員を輩出してきた民主派の主要政党である民主党や公民党は、当局の圧力の中で今回の立法会選への不参加を決定。ただ「民主派」や「非親中派」を名乗る13人が立候補を届け出ました。

 前回2016年の立法会選の直接選挙枠の投票率は58%。民主派の得票率は約6割でした。今回は民主派の重要人物や主要政党が不参加のため、投票率が大幅に低下するとみられています。

 香港中文大学の蔡子強(さい・しきょう)高級講師は香港紙・明報に「今回立候補した非親中派の人物は、民主派の重要人物ではないため、市民の支持を得られるかは疑問だ。資格審査に通っても、選挙で勝てるとは限らない」と分析。香港メディアによると、親中派の時事問題解説員ですら、「すべての候補者は『愛国者』だ。立法会選はお遊びにすぎない」と述べています。

 香港当局は、抗議の意思を示すために市民が白票を投じる行為が広がることを警戒。香港警察は9日、SNS上で白票による投票を呼びかけた市民3人を選挙条例違反容疑で逮捕しました。

中国全人代が選挙制度改変

 中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)は3月、香港立法会の選挙制度改変を可決しました。昨年6月に施行された香港国家安全維持法(国安法)に基づくもので、立候補者が国安法に違反していないかを審査する資格審査を導入。また一般市民による直接選挙枠は35から20に減らし、業界別の職能枠30、「行政長官選挙委員会」選出枠40に改定しました。

 香港立法会選挙は当初、昨年9月の予定でした。過半数獲得を目指していた民主派は同7月、立候補者を選ぶ「予備選挙」を実施し、市民60万人が投票しました。香港政府は同8月、新型コロナウイルスの感染拡大を理由に1年延期を表明。当局は今年1月、予備選に参加した立候補予定者を一斉に逮捕し、その後、ほとんどを国安法違反で起訴するなど、弾圧を強めています。


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