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2021年11月10日(水)

ミャンマー軍政 弾圧緩めず

拘束者累計1万人に

解放即再拘束や拷問も

人権団体発表

 【ハノイ=井上歩】ミャンマー軍事政権による市民の弾圧状況を調査している人権団体「政治犯支援協会(AAPP)」は9日までに、軍政に拘束された人が累計で9900人を超えたと発表しました。軍政はクーデターに抵抗する民主派や市民の恣意的な拘束を続けており、累計の拘束者数が1万人を超えるのは確実な状況です。


 AAPPは、8日現在も7122人が拘束下にあり、1954人に逮捕状が出されていると発表しています。拘束を逃れている人を含め政治犯418人に判決が出され、うち65人が死刑判決を受けました。弾圧による死者は8日時点で少なくとも1244人にのぼり、このうち拘束中に拷問を受けて死亡した事例が6月段階で22件あったとしています。

 軍政は5月、民主派「国民統一政府(NUG)」や関係組織を「テロ組織」に指定し、関わった市民をテロ対策法違反で弾圧。ストライキなどの不服従運動(CDM)に参加しただけの医療従事者、教員、公務員らもテロ対策や扇動罪などの名目で拘束してきました。

 軍政は6月、2300人以上の拘束者の解放を発表。ミンアウンフライン国軍総司令官の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議への出席を認められず、国際的圧力が高まった10月には5600人以上の解放を発表しました。しかしAAPPが実際に確認できたのは6月の例で371人にすぎず、10月も約4000人にとどまったとしています。

 AAPP共同創立者のボーチー氏は独立系メディア「イラワジ」への寄稿で、10月の解放は軍政への政治的圧力が奏功したとの見方を示しつつ、「民主的に選挙された指導者たちは依然拘束されており、軍政による拘束と殺害は鈍化していない」と強調。先月解放された人のうち少なくとも127人がすぐに再び拘束され、中部マグウェでは解放8日後に再拘束された人が拷問を受けて死亡したと告発しました。

 同氏は、軍政の政治犯解放の発表について、世界が政治犯の存在に注意を向けなくなる効果を狙っていると指摘。そのうえで再拘束するのは、“ぬか喜び”させて抵抗者と家族に心理的打撃を与えるという国軍の常とう手段だと指摘しました。


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