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2021年11月10日(水)

きょうの潮流

 日本にきた外国人が驚くことの一つに、電車の中の居眠りがあります。その無防備な姿にあきれるとともに、治安の良さにも感心するそうです▼実際、眠る人をはじめスマホをいじる人、イヤホンをつける人、何かを読む人。車内で警戒する様子はなきに等しい。今はなおさら自分の世界に入り込むかのように。以前、国が調べた公共交通についての調査でも9割近い人が「安全だと思う」と答えていました▼そんな意識が大きく変わるかもしれません。電車内で乗客が襲われる事件が相次ぎ、恐怖と不安をひろげています。8月に小田急線で男が刃物を振り回して以来、先月末の京王線、8日の九州新幹線とたて続けに。地下鉄で男が千枚通しのようなもので乗客につめよったという事例も起きています▼関連性もあります。京王線の犯人は火をつける際に小田急線の事件を参考にしたといい、放火未遂の新幹線の犯人は京王線の事件をまねたと▼人を殺して死刑になりたかった、自殺したかった―。伝えられる動機からは生きることや他者にたいする捨て鉢な態度がみえます。解明はこれからですが、コロナで人生の歯車が狂ったり、人間関係が希薄になっていることも無関係ではないでしょう▼社会不安のなかでは自殺が連鎖するように犯罪も増えます。政治にも希望がみえないなか、怒りやうらみ、うっくつした感情を抱えている人たちは多い。こうした卑劣な犯罪は許せませんが、危機対応だけでなく、救うべき人を救える社会でありたい。


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