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2021年11月10日(水)

名古屋入管局長(当時)ら告訴

殺人容疑でウィシュマさん遺族

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(写真)告訴状提出のため名古屋地検に入るポールニマさん(左から2人目)ら=9日、名古屋市

 名古屋出入国在留管理局で3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が収容中に亡くなった問題で、妹のポールニマさん(27)が9日、当時の名古屋入管局長や次長ら7人以上の職員に対する殺人容疑の告訴状を名古屋地検に提出しました。告訴人はポールニマさんとワヨミ・ニサンサラさん(29)の妹2人。

 告訴状では、2月15日に「飢餓状態」を示唆するウィシュマさんの尿検査の結果が出た後でさえ、点滴や入院治療の繰り返しの要請を入管が黙殺したと指摘。「生存を維持するための適切な医療を与え、保護する責任と義務を有していたにもかかわらず、これを怠った」「『被害者が死んでも構わない』という未必の故意があった」などと主張しています。

 告訴状の提出に当たってポールニマさんは死亡前の映像の一部を見たことに触れ、「姉が施設の中で殺されていると感じた。入管所長や関係者を処罰してほしい」と強調。岸田文雄首相宛てにも映像の全面開示など事件の真相究明を求める手紙を送っていると述べ、「手紙に目を通していただき、いい返事が欲しい」と話しました。

 遺族代理人の指宿昭一弁護士は「2007年から17人が入管施設内で亡くなっている。私が知る限り、起訴されたことはないはずです。しかし本件の最終報告書や死亡前の映像の一部からしても、刑事責任を誰も負わないということはあり得ない」と強調。事件の真相究明を求めて法相にも面会を求めていくと話しました。

 6月には、支援者が入管職員に対する保護責任者遺棄致死傷容疑及び殺人容疑の告発状を名古屋地検に提出し、受理されています。

 ウィシュマさんは昨年8月から入管に収容され、収容が長引く中で体調が悪化し、今年3月6日に死亡。入管庁は8月に死因さえ特定せず名古屋入管の対応を正当化する内容の最終報告書を公表しました。遺族側は国家賠償を求める訴訟も起こす方針です。


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