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2021年10月16日(土)

きょうの潮流

 評論家の加藤周一さんは生前「今の日本で政権交代が望ましいいちばん根本的な理由は、そのほかにはない」からと書いたことがあります▼いわく「戦後の日本の政治権力は、米国に追随し、内外の環境を破壊しながら、経済的に成功した。同じ権力に、米国からの独立の政策と生活環境の尊重をもとめることは現実的ではあるまい。別の問題を解決するには、選手の交代が必要である」▼1989年9月の「朝日」の「夕陽妄語」です。翌年1月の同コラムでも、生活の質の向上、民主主義の強化、外交政策の独立のため「日本国民にできるのは、政権交代を実現させることのほかにはない」とダメ押ししました▼四半世紀続いたこのコラムで「政権交代」を熱く語ったのはこの時だけです。当時、リクルート事件と消費税導入への国民の怒りは激しく、89年7月の参院選で自民党は過半数を割りました。しかし期待は実りませんでした。93年の細川連立政権も保守党が割れて「野党の大部分を吸収」しただけと加藤さんは冷ややかでした▼30余年たった今はどうか。「米国追随」は沖縄の辺野古新基地建設にいたり、「内外の環境破壊」は気候危機をもたらしました。憲法9条はいっそうないがしろにされ、「政権交代が望ましい根本的な理由」はますます切実です▼市民と野党の共闘は6年の実績を重ね、政権合意もできました。政権交代の準備は万全です。悪政の表紙をかえればごまかせるなどという、姑息(こそく)な自民党に目にもの見せる時です。


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