しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年10月9日(土)

きょうの潮流

 「親ガチャ」という言葉が話題になっています。親は自分で選べない。どんな境遇に生まれるかは運しだい。それをガチャガチャと呼ばれるカプセルおもちゃの販売機に例えたものです▼ネット上ではさまざまな声がとびかっています。親ガチャ外れといって不満のはけ口にしたり、人生をあきらめたり。一方で自分の努力不足を親のせいにしないでという意見もあります。深刻なことを語るとき、相手に負担がかからないよう軽い調子で使うことも▼なかには親からの虐待や学校に通わせてもらえない厳しい環境を言い表す人たちもいます。望みどおりにいかない人生、生きづらさ。運によって左右される言葉がはやるのもその裏返しかもしれません▼社会の断絶、経済的な格差と貧困がひろがる現実のなかで、どう自分の運命と対峙(たいじ)し、生きていけばいいのか。それを掘り下げることが親ガチャをめぐる論争の本質ではないかと呼びかける専門家も現れています▼その気になれば宿命論を乗り越える力が今の若者たちには備わっている。社会学者で『「宿命」を生きる若者たち』を著した土井隆義さんはいいます。その力を引き出すのはおとなの役割で、生来の環境も「社会制度の設計いかんでいかようにも変えていけるもの」だと▼格差や生きづらさをつくっているものは何か。運命や環境に縛られるのではなく、視野をひろげ、自身の声を社会にとどける。政治をかえ、国をかえ、みずからの人生をかえる。チャンスは、すぐそこにあります。


pageup