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2021年9月20日(月)

主張

敬老の日

安心して年を重ねられる国に

 きょうは、人生を重ねてきた人たちに感謝し、お祝いをする「敬老の日」です。持ち味を生かし個性豊かに過ごす高齢者の姿は次の世代にとって大きな励みです。年配者の知恵や技能、経験などは社会全体の大切な財産です。

 しかし、日本は高齢者が心から安心して暮らせる現状になっていません。命と健康を守る仕組みの弱さはコロナ禍で改めて浮き彫りになりました。高齢者の人権と尊厳、生活を守る社会を実現することは政治の大きな責任です。

高齢者を苦しめる政治

 日本人の最新の平均寿命は女性87・74歳、男性81・64歳といずれも過去最高となりました。100歳以上の人も8万6510人となり最多記録を更新しました。

 世界でトップクラスの長寿社会を築いたのは、医療技術の進歩とともに、戦後、日本国憲法の下で、医療・福祉や公衆衛生をはじめとする社会保障の拡充を求める国民の取り組みによる成果です。

 一方、進展する高齢化を支える政治と社会の体制づくりが立ち遅れていることが、さまざまなひずみを生み、高齢者の安心と安全の土台を掘り崩しています。

 昨年来のコロナ禍で、高齢者施設などでクラスターが相次ぎ、多くの命が失われたことは、リスクの高い高齢者を感染から守る医療・検査の体制が極めて不十分だったことを示しました。優先的なワクチン接種が求められる高齢者がインターネットや電話でなかなか予約できず、接種が遅れる事態が生まれたことも深刻です。コロナ収束が見通せない中、感染症から高齢者を守る仕組みの弱点を改める取り組みが不可欠です。

 高齢者の健康と暮らしに苦難を強いているのは、コロナ対策に「自助」=「自己責任」を持ち込んだ菅義偉政権の大失政です。

 加えて安倍晋三前政権と菅政権が実行した社会保障費大幅カット(2013~21年度)が計り知れない打撃をもたらしています。

 高齢化などによって必要になる社会保障費の増額分を毎年容赦なく削り込み、総額は9年間で2兆円にも達します。75歳以上の高齢者医療制度の保険料引き上げ、介護保険料アップ、生活保護費の削減などで高齢者を中心に大きな負担と犠牲をもたらしました。このほか年金改悪などで約3・9兆円も国民への給付を削りました。

 8月から実施された特別養護老人ホームでの食費・居住費の補助制度の改悪で負担が急増する世帯が続出しています。6月の国会で自民、公明などの賛成多数で成立した「高齢者医療費2倍化法」は22年10月にも実施されようとしています。こんな政治が続けば、高齢者も家族も暮らしは成り立ちません。高齢者に冷たい「安倍・菅政治」からの転換は急務です。

全ての世代が力を合わせ

 安倍・菅政権は社会保障費削減の口実に“高齢者に給付が偏っている”などと繰り返しました。しかし、日本は、欧州諸国に比べ高齢化が進んでいるのに社会保障給付費全体があまりに少ないことこそが問題です。世代間の対立をあおり、高齢者への社会保障削減に結び付けることは許されません。

 高齢者を大事にしない国に未来はありません。全世代が希望を持って暮らせる国をつくるために政権交代を実現することが必要です。


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