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2021年9月15日(水)

8月の記録的大雨 温暖化が上乗せ

気象庁分析

 気象庁が13日に開いた異常気象分析検討会で8月の西日本と東日本の記録的な大雨の要因が議論され、真夏の時期にもかかわらず梅雨の後半のように西日本から東日本に前線がかかって広範囲で大雨になったとの分析結果が示されました。会長の中村尚・東京大学教授は記者会見で、地球温暖化が降水量を上乗せした可能性を指摘しました。


図

 8月は、中旬から下旬にかけて西日本から東日本の広い範囲で大雨が続きました。12~14日に九州北部地方と中国地方で線状降水帯が発生しました。過去のデータと比較可能な1029地点のアメダスの観測結果(11~20日)を足し合わせた値は、西日本豪雨があった18年7月上旬(1~10日)などを上回り、1982年以降、最も多くなりました。

流れこむ水蒸気

 検討会によると、8月の初め以降、寒帯前線ジェット気流の蛇行により冷たいオホーツク海高気圧が持続的に強い状態になる一方、日本の南海上の太平洋高気圧が例年よりも南西に張り出し、その間に西日本から東日本の広い範囲に前線が形成されて停滞。そこに中国大陸と太平洋高気圧の縁を回る二つの方向から大量の水蒸気が集中的に流れこんだのが今回の大雨の主な要因だったと結論づけました。

 太平洋高気圧が例年より南西に張り出したり、中国大陸から大量の水蒸気が流れ込んだりしたのは、東アジアから日本の上空を流れる亜熱帯ジェット気流が例年よりも南に位置したこと、インドネシア・スマトラ島南西のインド洋の海面水温が例年より高かったことなどが影響している可能性があるとしました。

今後も発生する

 中村教授は、これらの現象は自然の揺らぎで起こりうるとしたうえで、今回の大雨と地球温暖化の関係について8月の日本の上空の観測結果から空気中の水蒸気量が明らかに増加傾向にあること、気象庁気象研究所が今回の大雨についてコンピューターによる再現実験を行って速報的に得た結果はその可能性を示唆するものだと指摘。今後も、異常な大雨が発生する可能性があると述べました。


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