しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年9月10日(金)

中絶処罰の州刑法は違憲

無条件で合法は初

メキシコ最高裁が判決

 メキシコの最高裁は7日、人工妊娠中絶を犯罪とする北部コアウイラ州の刑法について違憲とする判決を出しました。最高裁は7月にも別の州に関わる判決で性犯罪による妊娠といった条件付きで同様の法律を違憲と判断していましたが、妊娠中絶を無条件で合法と認めるのは初めて。女性団体などの長年の運動が実を結んだもので、地元メディアは「女性の勝利」と報じています。


 報道によると、同州の刑法では、妊娠中絶した女性や中絶手術にあたった医師は禁錮3年の刑を受ける可能性があります。裁判は、この刑法が人権などを定めた憲法に違反すると女性団体などが訴えていたもの。

 10人の判事全員が賛同した判決は、問題の州法条項を違憲と認定し、無効化を命じました。

 州都サルティージョでは、女性らが中絶合法化のシンボルである緑のスカーフを身にまとい判決を祝う行進をしました。カルラ・シワトルさん(26)は、「中絶が犯罪ではなくなって本当にうれしい」「今回の措置でスティグマ(恥)が少し打ち破られたが、社会的な面で変えるべきことはまだある」とロイター通信に語りました。

 サンディバル裁判長は判決後、「全ての女性、とりわけ弱い立場の女性にとって歴史的な日となった」、「自分の権利を行使したことで投獄される女性が今後は一人たりとも生まれてはならない」と強調しました。

 メキシコで中絶が合法化されているのは、全国32州のうち4州に過ぎません。女性団体は、処罰を恐れ、非合法な手段の中絶を選ぶ女性が毎年75万~100万人いると推定。うち数千人が命を落としていると述べています。

 最高裁判決は「全国の裁判所の判事にとって基準となる」(サンディバル裁判長)もの。他州にも合法化を迫るものです。個人の信条としてこの問題への態度表明を避けてきたロペスオブラドール大統領は8日の会見で、全会一致の最高裁判決を「尊重しなければならない」と述べました。


pageup