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2021年8月27日(金)

香港前最高裁判事 「法治は政治的概念ではない」

司法の独立 強調

行政長官に反論か

 【北京=小林拓也】香港での国家安全維持法(国安法)施行で司法の独立が脅かされる中、香港最高裁判所の前首席判事の馬道立氏が、法治や司法の独立は「政治的概念ではない」と述べたことが注目を集めています。香港メディアが25日、馬氏の発言を報じました。


 香港弁護士会は24日に年次総会を開催し、馬氏が講演しました。同日の理事選では、改選5議席を親中派が占めました。理事選をめぐっては、林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官が、弁護士会が政治に関与すれば、政府との関係を断つ可能性があると述べるなど、民主派系の候補をけん制。選挙に圧力をかけていました。

 馬氏は自らの発言はだれの発言とも関係はないとしていますが、行政長官に対する反論だと受け止められています。

 馬氏は「法治は政治的概念ではない。司法の独立も法治の一つに含まれ、これも政治的概念ではない」と強調。また、「法治の側面として、法律の前では公平と平等が求められる」と訴えました。その上で、「香港の法治を支持する発言をすることは、正しいことであり、公共の利益にかなう」と指摘。弁護士会や法律に携わる者は「公共の利益のために活動すべきだ」と述べ、法治や司法の独立のために発言するよう呼びかけました。

 馬氏は2010年から21年1月まで最高裁首席判事を務めました。行政や立法機関など外部からの干渉を受けない「司法の独立」が香港の法制度の特徴だと強調してきました。香港の高度な自治を保障した「一国二制度」の核心は「司法の独立」ですが、国安法施行により政権の司法に対する干渉が強まり、司法の独立が危機にひんしています。


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