2021年8月27日(金)
きょうの潮流
「年齢を感じませんでした」。主演のひとり菅田将暉(すだ・まさき)さんがそう言えば、永野芽郁(めい)さんは「自分の作品をつくるっていう意志がすごく伝わってきた」。野田洋次郎さんは「どんどん前のめりになっていく」▼若手俳優らが口々に語った映画への愛と情熱。山田洋次監督89歳にして89作目「キネマの神様」が各地で上映されています。映画黄金期「夢の工場」だった撮影所を舞台にした今回の作品には監督自身の青春時代、ともに創造した仲間たちの姿が投影されています▼主演の途中交代、撮影の中断、公開延期。コロナ禍の影響をもろに受けた作品からはつながりや人への信頼、心を合わせて一つのものをつくりあげていく尊さが伝わってきます。それは60年以上、映画づくりに携わってきた山田監督の原点でもあるでしょう▼もう一つ舞台となっているのが苦境にあえぐミニシアターです。経営が立ち行かず、閉じていく地域の文化拠点。つらい実情を描いています▼「地獄のような状況」。文化芸術活動への支援を選挙公約に掲げるよう各党に要請している有志が窮状を訴えていました。先の見えない暗闇の中でもがき続けている現実。それなのに菅首相は「明かりははっきり見え始めている」。彼の目に映る光は幻か▼本紙に語った山田監督の思い。「もともと貧困な文化行政に加えてコロナ禍で、映画だけでなく、あらゆる表現、創造に関わる人たちが非常な苦しみの中にある」。このままではいけない、この国をなんとかしなければ、と。








