2021年8月24日(火)
きょうの潮流
人生を政治にかけたい。そう志をたて、国会議員秘書や市議を務めた横浜は菅首相の原点の地です。そこから国会に駆け上がり「影の横浜市長」と呼ばれるほどの影響力をもってきました▼そのお膝元の市長選で、直結の候補者が市民と野党の共同候補に大敗したことに衝撃が走っています。候補者の父親はかつて自身が秘書として仕えた恩師。長年の付き合いがある候補者とは「兄弟分」で知られていました▼現職閣僚の座をかなぐり捨て、首相が肝いりで推進するカジノ誘致に反対することまで掲げ支持を取り込もうとした選挙戦。しかし市民からは矛盾を見抜かれ、これまでカジノに反対してきた市民や団体の支援を受けた山中竹春氏に大差をつけられました▼自民支持層の多くからもそっぽを向かれた候補者に対し、無党派層の4割から支持を集めた山中氏。地元紙が「政権批判も追い風に」と評したように、菅政権のコロナ対策への不満や怒りが噴き出しました▼「まちやくらしを壊すな」。2年前、カジノ候補地となったふ頭に隣接する山下公園で開かれた市民の反対集会は熱気に包まれていました。輪をひろげ、署名を集め、住民本位の市長を誕生させるために運動を発展させてきました▼国民の命や生活そっちのけで利権やカネにまみれ、権力にしがみつくだけの政治に突きつけた「ノー」の声。それはこの地を足場に首相まで上りつめた菅政治への審判でもあります。「自分たちのことは自分たちで決める」。変革の流れをさらに。








