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2021年8月24日(火)

アフガンに自衛隊機派遣

民間人退避の輸送に3機

武器携行の陸自部隊も

 政府は23日、武装勢力タリバンが実権を掌握したアフガニスタンに残る邦人や大使館などの現地スタッフらを退避させるため、自衛隊の派遣を決定しました。23日夕に空自C2輸送機1機が入間基地(埼玉県狭山市)からカブール国際空港に出発。24日にC130輸送機2機が出発します。防衛省は航空支援集団司令官を指揮官とする統合任務部隊を編成。隊員は陸自部隊も含めて数百人規模となります。


 輸送対象は国際機関の日本人職員に加え、大使館や国際協力機構(JICA)の現地スタッフら。ただ、大使館は既に閉鎖され、日本人職員12人は17日に英軍機でアラブ首長国連邦のドバイに退避しています。このため、実際は現地スタッフとその家族が主な輸送対象になるとみられます。さらに、要請に応じて他国の民間人を輸送することも想定されています。政府はこれまでもイラクや南スーダンなどで自衛隊機による邦人輸送を実施していますが、外国人は初めて。早ければ今週中にも輸送を開始する計画です。

 緊急事態が発生した際、航空機や艦艇による在外邦人等の輸送について定めた自衛隊法84条の4に基づくもの。同条では安全確保が派遣の前提条件となりますが、加藤勝信官房長官は23日の記者会見で、「カブール空港では米軍が安全確保や航空管制を行い、発着が正常に行われている」と述べました。しかし、カブール空港内外で複数の銃撃戦が発生しており、「安全確保」には疑義が生じています。

 さらに、カブール市内ではタリバンが空港への移動を阻止するため検問を実施。米国務省は空港への移動は危険であり、個別に連絡があるまで近づかないよう勧告しています。そもそも、輸送対象者が空港に接近できない可能性もあります。

 また、国際法上、自衛隊派遣には相手国の同意が必要となりますが、加藤氏は「自国民等の退避のための輸送であり、仮に明確な同意が取れていないとしても国際法上は問題ない」と指摘しました。

 アフガニスタンへの空自輸送機派遣に伴い、陸上自衛隊の部隊も派遣されます。岸信夫防衛相は23日、記者団に、「武器は携行する」と述べました。自衛隊法上、在外邦人輸送の際には隊員と共に行動する輸送対象者の防護のため、武器使用が可能になります。

 陸自主力は中央即応連隊の隊員ら100人以上。カブール国際空港で、輸送対象者を誘導するのが任務ですが、米軍輸送機に脱出しようとしたアフガン人の群衆が殺到し、米軍が発砲したケースもあります。


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