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2021年7月29日(木)

きょうの潮流

 そこは、奇跡の森といわれます。列島の0・1%にも満たない面積に、日本で確認されている野鳥やカエルのおよそ3割が生息。固有種や希少な動植物も多い、生き物の宝庫です▼沖縄本島の北部にひろがる、やんばるの森。大型の肉食動物がいないことや湿潤な環境のもとで多様な小動物が共存してきました。独自の進化がつづき、今年もオオムカデの新種が発見されています。その豊かな自然が人類共通の宝として認められました▼世界自然遺産への登録。しかし奇跡の森には暗い影もあります。戦後米軍の訓練場となり、返還された場所からは大量の銃弾や汚染物質が見つかっています。そしていまだに広大な地域が米軍に囲われ、ヘリやオスプレイが離着陸する現実も▼米軍廃棄物の危険性を告発してきたチョウ類研究者の宮城秋乃さんは「米軍の基地と自然遺産は両立しない」と。ところが、この地に全国から機動隊員を送り込んでヘリパッドをつくり、新基地建設を強行しているのが菅首相です▼軍艦島をはじめとする世界文化遺産をめぐっても、日本政府はユネスコから「強い遺憾」を突きつけられています。朝鮮半島から徴用され、過酷な労働を強いられた人々についての説明が不十分だとして▼「世界に誇ることのできる貴重な環境をしっかり守る」と言明しながら、先頭に立って壊す。負の側面も伝えると国際社会に約束しながら、光の部分だけを強調する。そんな口先だけの首相に未来へ引き継ぐ遺産を語る資格はありません。


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