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2021年7月28日(水)

きょうの潮流

 1964年の東京五輪は「テレビオリンピック」を確立した大会でした。二つの1000万が交錯した60年代前半。一つは東京都の人口、もう一つはテレビの受信契約者数です▼急速に普及していったテレビにとって、五輪はその影響力を決定づける重要な転機となりました。聖火リレーから関心を高め、開会式の視聴率は84・7%に達し、大会中もNHK・民放こぞって長時間の垂れ流しとなりました▼いままたテレビは五輪報道、日本のメダル一色に染まっています。緊急事態宣言が出ているもとで。東京ではついに新規感染者が過去最多となり、感染の急拡大で重症者も入院患者も増え続け、医療体制はふたたび危機にひんしています▼メディアや政府があおる熱狂は至る所で人の流れや密をつくっています。自転車ロードレースの沿道には大勢が集まり、声援をとばしていました。金メダル1号を電話で祝福する菅首相のパフォーマンスをわざわざ映す愚かさも▼前回の開催前、東京は安保闘争の激動のなかにありました。国民の意識を政治から五輪に向けさせようという政府の思惑がそこに。いまも、伝えなければならない大事なことが置き去りにされています▼「まさに政治も経済も社会も変革の岐路に立っているがゆえに、メディアが果たすべき役割はとてつもなく大きい」。NHK「クローズアップ現代」でキャスターを務めた国谷裕子(くにや・ひろこ)さんの提言です。このまま五輪の狂騒を続けてもいいのか。メディアよ、いまこそ使命を果たせ。


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