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2021年7月26日(月)

きょうの潮流

 おっちょこちょいのハチベエ、物知りのハカセ、のんびり屋のモーちゃん。子どもたちに大人気の「ズッコケ三人組」は平和と民主主義の申し子でした▼彼らが自由に活躍できたのも戦後の日本にそれがあったから―。作者の那須正幹(まさもと)さんは3歳のときに広島の自宅で被爆。「髪の毛がちりちりで全身が灰色。泥人形のようになった人たち」の姿を見ていたといいます。最初の記憶、それは戦争でした▼「屋根裏の遠い旅」をはじめ「絵で読む広島の原爆」や「ヒロシマ三部作」、「少年たちの戦場」…。戦争や原爆についての著作が多いのも、次の世代に語り継ぐことが自分の責務との思いから▼戦前に逆戻りするような国の動きには反対の声を上げ続けました。核兵器禁止条約の批准を政府に求め、市民と野党の共闘にも尽力。選挙で日本共産党への期待を表明したのも、政治を変えたいという強い意思が根底に▼亡くなる直前、原告団長を務めた安保訴訟が結審し、那須さんの意見陳述が紹介されました。「安保法制が成立したために、平和で民主的な日本に暮らす元気で明るく活発な子どもたちの姿を描けなくなってしまった。戦時下の重苦しい世の中に戻したくない」▼平和を希求してきた79年の人生。ヒロシマ三部作のあとがきには東日本大震災の被災者にわが身を重ねながら、こんなメッセージを。「人間はそれほど柔ではない。なんど打ちのめされても起き上がり、明日に向かって歩きだす。それがあの日を体験した作者の実感なのだ」


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