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2021年7月23日(金)

きょうの潮流

 歓迎も高揚もない。あるのは不安だけ。街中には冷ややかな雰囲気が漂い、中止や無観客を求める声が相次ぎました▼先行競技が始まった東京五輪。サッカー女子の試合が行われた宮城スタジアムは閑散としていました。知事のごり押しで有観客となったものの、観客は上限の1万人を大きく下回る3千人ほど。開幕の熱狂とは程遠い、さびしげな風景でした▼仙台市内から訪れたという家族連れは「一生に一度と思って来たが拍子抜け。これがオリンピックなのかと」。多くのスタッフやボランティアも手持ちぶさたで、2日前に仕事が決まったと戸惑う姿も▼名ばかりの「復興五輪」は、この大会の理念のなさを改めて。こんどは開会式の演出担当を務める元お笑い芸人が、過去にユダヤ人の大量虐殺をコントの題材にしていたとして解任されました▼人類史上最悪の犯罪を笑いのネタにするような人物を、あらゆる差別に反対する五輪に起用する。もはや開会式の見直しどころではなく、「人類の祭典」を開催する資格さえないことがはっきりと。世界に向けても恥ずべき人権感覚は、組織委員会や政府にも通じます▼国や都、財界挙げての招致から8年。数々の不祥事がそれを証明しています。さらにコロナの感染拡大が深刻になるなかでの強行。国民の命とくらしを危険にさらしながら、菅首相は「挑戦するのが政府の役割」だと言い張る始末です。崩壊への幕開け。この大会を続けるかぎり突きつけられるでしょう。何のために開くのか。


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