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2021年7月21日(水)

きょうの潮流

 黒々とした人間の走る姿、闇がかかった五つの輪、〈感染者日々増えゆくを一顧だにせぬ強行の目的は何〉の短歌も。いま都内で「オリンピック終息宣言〈緊急〉展」が開かれています▼「人類がコロナに打ち勝った証し/復興五輪/平和の祭典」。この虚偽に異議を申し立てなければ私たちの命が奪われると、表現者たちが立ち上がりました。多様な作品を通してオリンピックのあり方を根本から問う試みです▼「人として、作家として言うべきときがある。自由と生存が奪われているいまこそ、声を上げなければ」。実行委員の1人は、五輪に対して意思表示することは文化を享受するすべての人にとって、もはや避けることはできないと▼矛盾があらわになった東京五輪。関係者にひろがる「この大会は呪われている」との嘆きはコロナ禍だけではありません。シンボルマークの盗作から、森喜朗会長の性差別、式典責任者の容姿侮辱、そして開会式の楽曲を担当したミュージシャンのいじめ自慢…▼それは呪いではなく、みずから招いたものではないか。多様性と調和を掲げながら、かけ離れた政府や都、組織委の実態。ころころ変わる大会理念や目的は口先だけ。招致からの問題や数々の不祥事は、そのなかで起きたものです▼ドーピングやメダル至上、ゆきすぎた商業主義や肥大化、開催地にかかる負担増や自然破壊。いまや「犠牲の祭典」とまでいわれるオリンピック。世界的な危機のなかで、その存在意義がいっそう問われています。


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