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2021年7月11日(日)

きょうの潮流

 ひきこもりだった男性が中学校の非常勤講師になるNHKドラマ「ひきこもり先生」では「いじめゼロ」を掲げる校長が、学校にいじめがあることを隠そうとします。ドラマの中だけの話ではありません。現実に学校や教育委員会がいじめを隠蔽(いんぺい)しようとすることは多い▼鹿児島県出水(いずみ)市の中村幹年(みきとし)さん(71)は孫の真弥香(まやか)さんの自死の真相を知ろうと、教育委員会を相手に10年間たたかってきました。「あまりにも長く、苦しかった」といいます▼真弥香さんが自ら命を絶ったのは、2011年9月1日、2学期の始業式の日の朝のこと。中学2年生、13歳でした。孫はいじめられていたという話を聞き、学校に調査を依頼。学校は生徒にアンケートをしました▼しかし結果は遺族には知らされず、学校や教育委員会はいじめがなかったことにしようとします。遺族はアンケート開示を求める裁判で勝訴。真弥香さんの死から4年4カ月たって開示されたアンケートには、いじめをうかがわせる記述が多数ありました▼真弥香さんはやさしい子でした。小学4年の時、心臓病で入院した幹年さんに「じいちゃんみたいに病気で苦しんでいる人を助けるため看護師になる」。その声が今も耳から離れません▼先月、遺族と出水市は和解しました。いじめに相当する事実があったことを認め、市が陳謝することに。「孫が生きていた証しとして事件の教訓をいかしてほしい。教育委員会は隠蔽をやめてほしい」と幹年さん。いじめで苦しむ子をなくすために。


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