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2021年7月1日(木)

きょうの潮流

 戦後まだ結核が恐れられていた頃、感染拡大を防ぐうえで重要な役割を担っていたのが保健師でした。各地で患者の見守りや調査を行い、保健所とともに防衛線となってきました▼ところが、このコロナ禍で深刻な人手不足に陥り、破綻の危機に。そこには医療や保健の体制を根っこから崩してきた国の誤った姿があります。保健所の数は90年代半ばから半減。いまでは数十万人がくらす地域に1カ所しかなく、電話が鳴りっぱなしの状態です▼病床のひっ迫もくり返され、緊急事態に対処できない現実があらわになりました。医療先進国といわれながら“命のインフラ”をおろそかにしてきた日本。NHKのシリーズ「パンデミック激動の世界」でもそれを検証していました▼番組の中で川崎市の医療行政に携わる人物が国の地域医療構想を批判していました。あれは「病床削減会議」だとして、効率化をすすめ、医療を経営から考えることで原点から外れてしまったと▼日本の医療をどう守るか。いま都議選でも、都立・公社病院の独立行政法人化が大きな争点になっています。コロナ対応でも中核な存在。もうけ優先に変質させず直営のまま拡充を、という共産党の訴えが共感をひろげています▼みえてきた医療の提供体制の問題点。日本看護協会の福井トシ子会長は「平時から看護職員の十分な配置があってこそ危機に対応できる」と強調します。医療のあり方とは、本当の安心・安全とは―。根源となる問いの先にあるのは命の大切さです。


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