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2021年6月23日(水)

きょうの潮流

 ガマフヤー。沖縄で「ガマを掘る人」をそう呼びます。自然の洞窟ガマは、鉄の暴風がふきあれた沖縄戦で、日本軍の壕(ごう)や住民の最後の避難場所になりました▼そこで具志堅隆松さんは、40年近く遺骨を掘り続けてきました。「痛みや苦しみ…。声なき叫びが、ひとかけら、ひとかけらから聞こえてくる」。いまも訪れる本島の南部では次々と人の骨が見つかります。住民をまきこんだ死の彷徨(ほうこう)を物語るかのように▼沖縄戦の犠牲者は日本軍の南部への撤退後に急増します。首里の司令部が陥落し、すでに決着がついていたにもかかわらず、本土決戦を少しでも遅らせるために戦闘を長引かせました。死体の山をのりこえ、必死に逃げ惑う沖縄の人びとを盾にしながら▼無念の血が染みこみ、いまだ数えきれない遺骨が眠る地。その土砂を菅政権は辺野古の埋め立てに使おうとしています。米軍の新しい基地をつくるために。具志堅さんは「遺骨の尊厳が傷つけられようとしている」と憤ります▼きょう沖縄は「慰霊の日」。南部・糸満市に建てられた魂魄(こんぱく)の塔には、戦後野ざらしになっていた3万5千もの遺骨が納められています。亡くなった前知事の翁長雄志さんはここで「平和を守るためには鬼になる」と誓ったといいます▼菅首相は官房長官当時、その翁長知事に「歴史を持ち出されたら困る」と言い放ちました。人間が人間でなくなるほどの苦難を味わった沖縄の歴史を、一人ひとりの命をなんと軽んじる姿か。それこそ鬼となるときです。


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