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2021年6月9日(水)

きょうの潮流

 むかし通った小学校の校庭は住民の通路になっていました。地域に開放されて、放課後には子どもたちが遊ぶ日常。そんな光景を一変させた事件でした▼20年前、包丁をもった男が大阪教育大付属池田小に侵入、8人の児童の命を奪いました。事件が起きた8日に開かれた追悼の集いでは誓いが改めて。「つらい思いをする人がもう二度と起こらない社会をつくるため、この事件のことをいつまでも語り伝え続けたい」▼同校では不審者に対応する訓練とともに、「安全科」という授業を設けてきました。当時の児童の中には命を救う職業にと小児科医をめざしたり、周りを元気づけたいとJリーグチームの職員になったり。地元で子ども食堂の運営に携わる同級生も▼娘を失った本郷由美子さんは昨年、悲しみに寄り添う「グリーフケア」のための図書館を開設。生きることの意味を教えてくれた娘、自分も苦しむ人に寄り添えたらと。学校の安全や被害者の支援に力を注いできた遺族もいます▼事件を機に閉じることが当たり前になった校門。学校だけでなく、保護者や地域と手を携えながら子どもの命を守り、安心して学べる環境をどうつくっていくのか。いまも手探りのとりくみが続きます▼「人と人とのかかわりの中で模索し、行動を起こし、世の中のすべての子どもたちが安全安心で豊かな学校生活を送ることができるように」。息子を亡くした母親の願いです。こうした犯罪をなくし、一人ひとりの命が大切にされる社会になることを。


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