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2021年6月4日(金)

主張

天安門事件と中国

国際法違反の人権侵害やめよ

 中国当局が民主化運動を武力弾圧した天安門事件から4日で32年です。香港とマカオの警察は犠牲者を追悼する集会を昨年に続いて禁止しました。中国本土では事件が隠蔽(いんぺい)されていますが、「一国二制度」の両特別行政区では一昨年まで市民が追悼集会を開いてきました。集会の禁止は事件を歴史から消し去ろうとする行為です。

弾圧は社会主義と無縁

 北京の天安門広場に集まって非暴力で民主化を求めていた学生らに対し、1989年6月3日深夜から4日にかけて人民解放軍が武力を行使しながら突入し、多数の死傷者を出しました。日本共産党は、重大な人権と民主主義の蹂躙(じゅうりん)を断固として糾弾する抗議声明を発表しました。

 平和的な運動を武力で弾圧することは社会主義・共産主義と無縁です。民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果のすべてが受け継がれ、いっそう発展させられるのが社会主義・共産主義の社会です。日本共産党は、将来の日本でさまざまな思想・信条の自由、反対政党を含む政治活動の自由が厳格に保障されることを明確にしています。

 今日、中国当局は天安門での弾圧への批判はもとより事件を伝えることすら禁じています。中国のウェブサイトでは事件に関する検索すらできません。香港とマカオの警察は昨年、新型コロナウイルス対策を理由に追悼集会を禁止しました。香港では当日、市民が公園に集まりましたが、参加した民主活動家が起訴され、黄之鋒氏ら4人は先月、禁錮4~10月の実刑判決を受けました。

 香港警察は今年、集会に参加すれば罪に問うと脅迫し、マカオ警察は、集会が中国の国家主権や安全を侵害するとしています。

 中国当局と香港政府は昨年来、自由と民主主義の抑圧や人権侵害を立て続けに行ってきました。国家安全維持法の制定、同法に基づく逮捕・起訴、民主派の立法会議員の資格剥奪、「愛国者」以外を排除する選挙制度改変などです。いずれも中国政府自らが世界に約束した「一国二制度」をほごにする行為です。新疆ウイグル自治区でのウイグル人、ムスリム系住民抑圧も世界で批判されています。

 中国政府は世界人権宣言、国際人権規約、ウィーン宣言などの人権取り決めに署名や支持をしています。1998年に署名した国際人権規約の自由権規約は意見表明、集会、結社の自由を明記しています。中国は「内政干渉」「中国式の民主主義がある」として国際社会の批判を拒否するのではなく、自ら認めた国際法上の義務を履行し人権侵害をやめるべきです。

法にもとづく批判こそ

 日本政府は中国の人権侵害や覇権主義を軍拡の口実に利用する一方、国際法に基づく批判には及び腰です。外務省が昨年12月に公開した天安門事件に関する外交文書では、事件後、日本政府が対中制裁に反対しただけでなく、国際的批判をかわすための助言を中国政府にしていたことがわかりました。日本政府は人権侵害を許さない外交を確立すべきです。

 米国は自国の利益に合う場合にだけ他国の人権侵害を批判する「二重基準」の姿勢です。

 中国の人権侵害に対して国際法に基づく批判を高めていくことが何よりも重要です。


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