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2021年5月27日(木)

きょうの潮流

 幼い頃からスカートもリカちゃん人形もいやでした。小学校の作文では、どうしても「わたし」と書きたくない。周りが女の子としてくくっていくことに居心地の悪さを感じていました▼戸惑いといら立ちが収まらなかった思春期。高校生のときに心と体の性別が一致しない人を称すトランスジェンダーという言葉に出合い、心の底からほっとします。「これで生きていける」と。遠藤まめたさんが『オレは絶対にワタシじゃない』につづっています▼それまで苦痛であり、義務であった性別は自分で選び直すことができる。そう気づいた遠藤さんは性のちがいを認める社会に変えたいと立ち上がり、人権の問題として政治にも働きかけています▼「種の保存に背く」「道徳的に認められない」―。LGBTなど性的少数者への理解をすすめ差別をなくすため、超党派の議員連盟が今国会で成立をめざす法案。それをめぐる自民党内の会合で偏見に満ちた暴言が相次ぎました▼存在そのものを否定する発言が、どれほどの人びとを傷つけたか。時代の進歩も、異なる価値観も受け入れない、こり固まった古びた物差し。生物学でも認められている多様な性の存在を「根幹にあらがう」と言い募る無知▼人間の性のあり方は境界線のない虹の色のようだと遠藤さん。みんながちがう色だから、世の中も豊かで楽しい。単色に染まったままの人たちを置き去りにして世界は変わっていきます。男として女としてではなく、自分らしくを大切にする社会へと。


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