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2021年5月9日(日)

コロンビア 勢い増す反政府デモ

弾圧部隊解体・学費無償化求める

 南米コロンビアで全国的な盛り上がりを見せている反政府デモは7日、発生から10日目を迎えました。ドゥケ政権は発端となった増税法案を撤回し、対話を呼び掛けるなど鎮静化を狙いますが、運動は多くの死傷者を出した暴動鎮圧部隊の解体、公立大学の学費無償化などの要求を掲げ、勢いを増しています。

 現地報道によると、首都ボゴタでは7日、「SOSコロンビア」「たたかい続ける私たちの意思を殺すことはできない」などのプラカードを持った人々が十数カ所に分かれて行進。夜の集会では、弾圧で犠牲となった若者らを追悼するろうそくがともされました。

 デモ参加者をとくに駆り立てているのは、警察による残虐な暴力への怒りです。人権擁護庁によると、この間のデモに関連して26人が死亡し、379人が負傷。人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは死者数を36人と発表しています。

 野党緑の党のカテリネ・ミランダ下院議員は、「政府は二つの顔を持っている。昼間は対話や和解を提起するが、夜に示されるのは弾圧だけだ」とロイター通信に語っています。弾圧行動の中心を担う国家警察の暴動鎮圧特殊班ESMADの解体は、デモ隊の主要な要求の一つとなっています。

 ドゥケ大統領は7日、事態収拾策の一環として、野党グループ「希望連合」と会談しました。野党側は、新型コロナウイルスの感染拡大によって疲弊した国民を救う「国家社会緊急計画」として、貧困世帯向け最低収入保障制度の拡充、公立大学の学費無償化などを要求。警察側の過度な武力行使が横行していることを非難し、「国民への攻撃をやめさせるため、大統領が直接の指導性を発揮すべきだ」と迫りました。

 これに対し、ドゥケ氏は、過度の武力行使があった場合は調査・処罰されるべきだと述べたものの、ESMAD解体は拒否する対応に終始しました。

 ドゥケ氏は、この会談は「生産的だった」と表明し、デモを組織している労働組合や市民団体の代表とも近く会合を持つ考えを示しました。しかし、デモ隊側には政府への不信感が根強く、直接対話が実現するかどうかは不透明です。


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