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2021年5月7日(金)

きょうの潮流

 新緑が青空に映える季節です。初夏に咲く花々も色とりどりの鮮やかさ。そんなとき、命の“色分け”が行われようとは▼フランス語の選別を語源とするトリアージ。治療の優先順位を判別するこの言葉は患者の状態を4色で表します。赤はすぐに治療しないと命が危ない、黄はあとで手術などが必要、緑は簡単な処置で済む、黒は亡くなっているか助けられそうにない(日本赤十字社・救命救急センター)▼「毎日、命の選択をしている」。神戸市の健康局長がテレビで訴えていました。兵庫や大阪ではコロナの感染拡大で病床がひっ迫し、入院待ちも激増。重症化しても受け入れ先が決まらず、自宅で命を落とす患者が相次いでいます▼緊急度を判断し入院調整する救急車トリアージも。医療現場はつらく苦しい選択を迫られ、救える命を救えない危機的な状態に追い込まれています。そこに感染力を増した変異ウイルスが追い打ちを▼政府は自治体からの要請をうけ、緊急事態宣言を延長しようとしています。しかし大がかりな検査や補償をはじめ、やるべきことをやらずに期間を延ばすだけでは同じことのくり返しです。国民のなかにはコロナ疲れもまん延しています▼病院の片隅でいいから息子を入院させて。自宅療養中の患者の母親から拝まれ、その後、亡くなったことを知った神戸の訪問看護師が涙ながらに語っていました。「握りしめても、握りしめても、指のすき間から命がこぼれ出ていく」。いま現実に命が色分けされています。


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