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2021年4月19日(月)

きょうの潮流

 厚生労働省は来年の障害者総合支援法改定に向けて、議論をはじめています。障害者やその家族が、その人らしく暮らせる制度に改善できるかどうか▼昨夏、痛ましい事件がありました。京都市の母親が、17歳の障害のある長男を手にかけたのです。2人暮らしでした。「介護に疲れた」。数年前から暴れることがあったようです▼ひとごとではないと受け止めた障害者・家族は少なくありません。家族による介護が前提で、障害者の暮らしを支える制度が脆弱(ぜいじゃく)だからです。障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会によると、調査した3718人のうち66%もの人が家族介護の限界を感じています▼仏教大学教授の田中智子さんは社会資源の乏しさを指摘します。障害のある人を支えるためだけでなく、親も“当事者”として受け止める社会資源が必要だと。親が1人の人間として自分の人生を歩むためにも▼成人した障害者にとっては家族依存から自立した暮らしを築きたくても困難がつきまといます。障害者が安心して暮らせる場の選択肢を、国が増やしていないからです。「脱施設」だけは声高にいうけど▼障害者の重度化・高齢化がすすんでいます。家族も高齢に。人権が保障されるための多様な住まいの整備と、豊かに暮らすための施策は喫緊の課題です。障害があっても障害がない人と同じように、どこで誰と暮らすのか自己決定できるように―。障害者と家族の尊厳を守るための法改定は、障害者権利条約が羅針盤になるでしょう。


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