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2021年4月6日(火)

主張

ミャンマーの弾圧

国際社会の結束した対応急げ

 ミャンマー情勢は国軍による2月のクーデター以来、悪化の一途をたどっています。国連安全保障理事会は1日、市民への暴力を非難する声明を発表しましたが、法的拘束力を持つ決議の採択には至りませんでした。中国など一部の国が軍に圧力をかける措置に反対しています。こうしている間にも犠牲者が増え続けています。ミャンマー国民の命を守るために国際社会の結束した対応を急がなければなりません。

暴力停止に猶予許されぬ

 クーデター発生は昨年11月の総選挙で圧勝した国民民主連盟(NLD)の新政権が発足するはずだった2月1日でした。民意と民主主義を根底から否定する暴挙です。市民の抵抗は2カ月たってもやむことがありません。実弾発射を繰り返す国軍や警察に対して市民は街頭でさまざまな手段を駆使して軍政反対の意思を表明しています。国際社会にも支援を呼びかけています。

 市民への暴力は見境のない無差別なものへエスカレートしています。ミャンマーの人権団体によると、弾圧による市民の死者は五百数十人に上ります。民政下で和平協議が進んでいた少数民族武装組織の支配地域に対しては国軍が無差別の空爆を行い、多くの犠牲者が出ています。

 ミャンマー担当のブルゲナー国連事務総長特使は大量殺りくや大規模な内戦の危険を警告しています。もはや一刻の猶予もなりません。

 国連安保理が3月10日に発表したミャンマー情勢に関する議長声明は「平和的なデモへの暴力を非難する」とし、民主的政権への移行を支持すると表明したものの国軍を名指しした非難は避けました。それに続く1日の安保理声明は全理事国の同意を得たものですが、意思表示の手段としては議長声明より弱いものです。

 欧米諸国はすでにミャンマーに制裁を発動し、国連でも国軍に厳しい姿勢を示すよう求めています。国連がミャンマー国軍非難で一致できないのは、安保理で拒否権を持つ中国が制裁などに反対しているからです。ロシアも消極的な立場と伝えられます。

 中国政府の態度は一貫して「ミャンマーの各方面が自制すべきだ」というものです。クーデターも国軍の暴力も非難しません。中国の王毅外相はマレーシア外相とミャンマー問題で会談した後の記者会見で「出しゃばって勝手に圧力を加えるべきではない」とまで述べました。「内政問題」だとしてクーデターを容認することは到底許されません。

日本はより積極的役割を

 ミャンマーで半世紀続いた軍政から民政への移行は国際社会の支持のもとで進められてきました。それを武力で覆すことは、民主化を支援してきた国際社会の努力を壊す行為です。国連人権理事会も2月12日に民主的政権への復帰や拘束したNLD幹部らの解放を求める決議を採択しています。

 日本政府はミャンマー国軍と軍政時代から強い関係を持ってきました。同国に最大の経済援助を供与してきた国として重要な責任を負っています。クーデターを許さない道理ある批判をし、国際社会の結束をつくり上げるために他国にも働きかけ、積極的な役割を果たすべきです。


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